ご挨拶
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 この度、2026年3月19日(木)〜 21日(土)の3日間にわたり、日本一の大河信濃川の河口に面する新潟市の朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)で「災害を科学する」をメインテーマに掲げて、第31回日本災害医学会総会・学術集会を開催させていただくこととなりました。新潟県の災害医療関係者の悲願であった新潟開催の貴重な機会を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
本学会の特徴として、医学会でありながらも学会員の構成は医師だけではなく、多くの医療系職種、消防・警察関係者、栄養士、消防や行政、災害ボランティアの方々など、多職種に渡っている点が挙げられます。災害から命と健康を守る活動は、多くの人の力によって支えられていることの表れです。また、災害医学の特徴として「予測困難であり、同じ災害は二つとしてない」ことが挙げられます。これらを背景として、災害医学は科学することが容易ではなく、時には貴重な経験が「経験談の継承」にとどまってしまう場合も少なくありません。
しかし、本学会が医学会である以上、社会医学である災害医学の研究、教育、社会実装に関わる学会員の活動を支援する学術団体であり、科学を持って社会に貢献するべきであると考えています。
災害が発生するたびに、多くの経験が積み重ねられますが、その経験を科学することで、Evidenceを積み重ね、Evidence Basedな教育(人材育成)や、社会システムへの働きかけ、資機材の開発などの研究への昇華、そして教育・研究開発の成果が次の災害で実際に適応され(社会実装)、新たな経験と検証が行われる、という社会活動と科学の有機的なサイクルの構築に注目して、今回の学術集会では議論を深めてまいりたいと思います。
2026年は熊本地震発災から10年目となります。今回、副会長を熊本大学の笠岡俊志先生にお願いし、熊本事務局も設置して、熊本地震関連セッションも多く企画する予定です。また、新潟県医師会長の堂前洋一郎先生、新潟県厚生連理事長の塚田芳久先生にも副会長をお願いし、新潟ならではの取り組みについても広く取り上げてまいります。中越地震、中越沖地震を経験した新潟と熊本地震を経験した熊本が「災害を科学する」をテーマに力を合わせて精一杯準備を進めてまいります。活発で実りある議論の場となるための企画と、新潟らしいおもてなしでお迎えいたします。古い港町、新潟の地で皆様とお目にかかれますことを、心から楽しみにいたしております。


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