新潟口腔ケア研究会

新潟口腔ケア研究会
第18回 新潟口腔ケア研究会 報告
 令和5年度の第18回新潟口腔ケア研究会は、現地および後日オンデマンド配信のハイブリッド開催となり、9月10日に現地開催、9月19日〜10月31日にオンデマンド配信しました。本年度も約170名とより多くの皆様にご視聴いただき、感謝申し上げます。
 本年は、当番世話人の日本歯科大学新潟病院 看護科 小林裕子師長のもと、「看護と栄養の視点から考える口腔ケアの現在地」をテーマといたしました。特別講演として、日本赤十字豊田看護大学 成人看護学 教授 東野 督子先生より「健康増進に寄与できる口腔ケア―求められる支援を考える―」と題し、口腔ケアを担う看護職の現状を踏まえ、口腔ケアの必要性、適切な方法についてご講演頂きました。また、教育講演は、日本歯科大学新潟病院 管理栄養士 近藤さつき先生より「栄養士を含めたチームで行う口腔ケア―口腔機能低下症から訪問歯科診療まで―」と題し、周術期における栄養指導の重要性やチーム医療としての機能的口腔ケアについてご講演頂きました。
特別講演 抄録(東野 督子)
 今回、「健康増進に寄与できる口腔ケア 〜看護職の立場から求められる支援を考える〜」というテーマでの講演をいたします。
 昨今、口から食べることと、身体機能や精神活動、ひいては社会生活との関連がある報告が散見されるようになりました。口腔ケアは食べることや口腔機能の維持・回復、栄養状態の改善などに有効であり、単に口腔内を清潔に保つだけではないことが示されています。講演では「口腔ケアによってリスクを低減できる可能性がある全身疾患」とリスクの低減に寄与できる支援についてお話しし、一緒に考えたいと思います。
 また、療養の場は、いまや医療機関から地域まで幅広く連続していることから、口腔ケアは、職種を超えた医療職の力がますます求められる状況になっています。本講演では「口腔ケアを担う看護職の現状」について、私どもが調査した内容なども含めてお示しすることより、口腔ケアにかかわる医療従事者、介護職など療養の支援を実践する方々が、役立つ視点から口腔ケアについてお話しできればと思っています。そして、療養生活をする方々へのケアの実践にすこしでも活かしていただく一助になれば幸いに存じます。
教育講演 抄録(近藤 さつき) 
 当院では、高齢者が施設や在宅から緊急入院すると意識低下があり、口腔内は乾燥し舌苔や口腔粘膜に痂皮の汚れが目立つ。歯科衛生士が口腔ケアを実施すると口腔内は清潔になると同時に「美味しい」と意識がやや鮮明になり味覚がわかることを目の当たりにする。その後、毎日看護師による口腔ケアが行われ、患者の口腔状態が清潔に保たれる。これが器質的口腔ケアである。その後、機能的口腔ケアである多職種がかかわりながら口腔機能の維持や回復に向け、マッサージやトレーニング、リハビリなど実施することで食べる機能を少しずつ向上させ食事摂取ができるようになる。
 また、2018年4月から「口腔機能低下症」が保険適用され、口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下(EAT-10)の7項目から3項目以上で低下を認められた場合に請求できるようになった。外来で関わっている患者の多くは口腔機能低下症で、BMI 18.5kg/m2以下の低体重である。歯科医師が口腔状態の確認や定期的にInbodyを測定し、歯科衛生士が生活の聞き取りや口腔ケアを実施し、管理栄養士が食事や運動の聞き取りを行いチームで検討しながら口腔機能を維持し、食形態や食事内容の変化がなく体重の増加できるように指導を行っている。
 また、当院の訪問栄養指導は摂食嚥下障害が多く食事摂取量などに問題があり低栄養患者である。少しでも「口から食べる」ことが継続できるように、家族に口腔機能に合わせた食形態の指導やカロリーアップの方法、料理法などを指導している。管理栄養士として単独で栄養指導に伺うのではなく歯科医師や歯科衛生士と一緒に訪問することで患者の口腔状態に合わせた指導ができている。
 今回はチームで行う機能的口腔ケアついてどのように行っているか症例を交えて話したい。少しでも歯科領域において管理栄養士による栄養指導が広がる一因となれば幸いです。

企業展示の様子
口腔ケアに関連する2社を集め、盛況を見せておりました。



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