新潟口腔ケア研究会

新潟口腔ケア研究会
第9回 新潟口腔ケア研究会
 平成26年8月31日(日)に日本歯科大学新潟生命歯学部講堂において、第9回新潟口腔ケア研究会が開催されました。今年は県内の病院・施設から歯科衛生士・看護士・介護系職員を中心に250名近くの参加者が募りました。
 今回も一般口演、教育講演、特別講演が行われた。一般口演では8演題の発表があり、周術期口腔ケアや病棟での口腔ケア関する内容に多くの関心が寄せられた。また、訪問診療や食支援に関する話題など広い分野からの発表があり、活発な討議が行われた。
 教育講演は講師に至誠堂綜合病院リハビリテーション科歯科衛生士の児玉俊恵先生をお呼びし「超高齢認知症患者の口腔ケア」という演題でご講義頂いた。
 特別講演では鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座の菅武雄先生をお招きし「多職種連携による【食】のサポートと口腔ケア」をテーマにご講演していただきました。歯科の立場から介護の現場の口腔ケアや食支援にどう関わっていくか、多くの臨床経験を元にご講演いただいた。
 また、会場ロビーには口腔ケア関連の製品を扱う3社が展示ブースを設置し、参加者へ最新の器具や製品の紹介を行い盛況となりました。
 来年度は10回記念大会となり、さらなる盛会になることを期待しております。


超高齢認知症患者への口腔ケア
至誠堂総合病院 リハビリテーション科
児玉 俊恵
日本の65歳以上の人口は平成24年には23%を超え、世界のどの国も経験したことのない超高齢社会を迎えている。
高齢者の生活スタイルも独居や老々介護が増え、不良な義歯で食事をしていたり、痛みを抱えていても、歯科の介入がされておらず、問題を抱えたまま入院してくるケースも多い。
特に85歳以上の超高齢者においては認知症や嚥下障害 呼吸器疾患など複数の疾患を抱えており、口腔内も汚染しやすい状態にある。
当院でも口腔の自己管理が出来ないという理由だけではなく、加齢や疾患に伴い病的に口腔内が汚染され、体力の低下した高齢者においては口腔から全身への感染の危険も伴う。
しかし、現状では入院患者の口腔ケアは専門職がいない場合が多く、誤ったケアでかえって汚染を拡大させていたり、忙しい業務の中、時間がかけられない場合が多い。
当院は歯科診療科が無いが、口腔汚染に早期に着目しH21年に歯科衛生士が採用され、リハビリテーション科で言語聴覚士と共に嚥下リハと口腔ケアを提供している。
今回は歯科診療科がない総合病院で一人歯科衛生士が働いている少し珍しい様子を、入院患者の口腔の問題を交え口腔ケアへの取り組みを報告する。

多職種連携による「食」のサポートと口腔ケアのあり方
鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座
菅 武雄
 「食」に対するアプローチが変化してきている。特に在宅医療、在宅歯科医療の場で「口から食べる」ことの重要性が広まってきている。これは人工的水分栄養補給法のガイドライン(老年医学会)の公表が大きく影響しているが、「口から食べる」ことの問題が、単に栄養補給の問題だけではなく、生きる権利や死生観にまで及ぶ広範囲な問題であることが認識されてきたことによる。
 歯科は「経口摂取」に専門性の一翼を担う立場にある。ガイドラインに示された「経口摂取の可能性の評価」を行うという点において、「身体機能面の評価」を行い、「口腔ケア面からの評価」を提供することができる。歯科医師が嚥下精密検査を行うようになり、歯科衛生士による口腔のケアがリハビリテーションと捉えられるようになってきたのは、目標を「口から食べる」ことに設定したためである。
 在宅歯科医療には3つのニーズが存在する。「診療」「ケア」「リハビリテーション」である。この3つのニーズは、その比率を動的に変化させながら「口から食べる」ことを目指す。「歯科診療」は食べる機能を創り向上させるため。「ケア」は食べられる口を創るため。「リハビリテーション」は再び口から食べる(経口摂取の再開)そして最期まで口から食べる事をサポートするために存在するのである。
 今回の研究会においては、在宅歯科医療の立場から特に「ケア」についての話題を提供したいと考えています。



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